八潮のガレージハウス
Location :埼玉県 八潮市
撮影:山本まりこ
風土社「チルチンびと」98号掲載
photo:山本まりこ
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ご夫婦と元気な3兄弟のための住まいです。三方向を隣家に囲まれ、西側を通る幅4mの前面道路の反対側にもぎっちりと民家が軒を連ねておりプライバシーの確保が難しい状況でした。いかにしてプライバシーを確保しながら明るく開放的な空間とすることが出来るかがポイントとなりました。
1階は主にご主人の趣味の為のスペース。内外共にコンクリートの打ち放しとし、男らしいクールな空間としています。外壁と同材のガルバリウム鋼板で葺いた大きな引戸を開放すると玄関と一体となったバイクガレージが現れます。外部との連続感を感じさせるように土間床には内外共に同材のブラックスレートを張り込んでいます。また、奥に向かってハの字型に間口を狭くしていくことでより奥行を感じられるようにしました。突き当たりに配した3階まで伸びる螺旋階段を登っていくと無機質な1階とは対照的に木材を多用した暖か味のあるLDK空間が広がります。元気な3兄弟が走り回れるよう仕切りの無い一室空間としましたが中央のAVコーナーのみ床材を大理石とすることで空間の切替えを意識出来るようにしています。3階の天井まで続く壁の斜めのラインは視線を上部に誘導し縦方向の広がりと奥行を感じさせます。スリット状に設けたトップライトから入射した自然光は傾斜壁を伝い3階床のルーバーをすり抜け2階のLDK空間にまで降り注いできます。プライバシーを確保する為に2階レベルにおいて道路側には開口部を一切設けない計画としたが、適材適所の仕上げ材の選択やシンプルなディテールでの処理、ちょっとした寸法の操作、などを丁寧に積み重ねることにより伸びやかで大らかな空間に仕上げることが出来たと感じている。